戦国武将の多くは威風堂々としたヒゲをたくわえた姿で描かれている事が多いのですが、江戸時代になるとヒゲ面の武士というのはほとんど思い出せなくなります。みなさんはどうでしょうか。
戦国武将 本多忠勝
戦国武将がヒゲを伸ばすのはいろいろな理由があり、
(1)威厳や威圧感を与えるため
(2)兜のひもを顎に固定するため(上の画像でも分かりますね)
(3)表情や本心を隠すため
などが挙げられます。
武勇の象徴として髭を生やす武将が多かったのとは対照的に、江戸時代は太平の世。戦らしい戦は起こりませんので、もはや武士に戦のための髭は不要とした徳川家綱は1670年に「大髭禁止令」を発布。要するに「ヒゲは戦争の道具なんだから、徳川に従う武士がヒゲを生やす必要ないでしょ? それとも何、そのヒゲは幕府に謀反を起こすための準備ってこと? 違うならヒゲなんかいらないよね」というわけです。
それからしばらくしてまたヒゲブームが巻き起こったので1684年に刑罰付きで再度ヒゲ禁止のお触れを出し、江戸時代の武士はヒゲを生やすことはなくなりました。
これ以降、明治時代まで世の中は一般的にヒゲ禁止の風潮。江戸時代を描いたドラマや漫画で立派なヒゲをたくわえた武士が出てくることもありますが、彼らは本当はいてはいけない存在なのです。
現代においてヒゲで相手を威圧する必要がある職業というとかなり限られています。逆に一般的な職業では相手を威圧しないことが求められているのではないでしょうか。