自宅でできる手軽な脱毛方法というのは色々試してみましたが、あまりパッとした効果は得られませんでした。
当時は美容クリニックでの脱毛治療は広告を見て知ってはいたものの、「手術」のような大げさで怖いイメージを持っていてそこまで踏みきれなかったのと、私が東京から地方都市へ転勤してしまい近隣に実績のあるクリニックが見当たらなかったことから、治療を受ける気にはなれませんでした。
ところがある日、そんな状況を一変させる出来事が起こったのです…。
きっかけは歓迎会での一言
一体どんな大事件なんだろうと思われるかもしれませんが、きっかけはほんの些細なこと。
冬の寒い日だったと思います。
私が勤めていた支店で退職者が出て、取引先へ引き継ぎの挨拶に伺う約束があり、そこで先方は私の歓迎会を開いてくれると言います。
仕事の飲み会なんてゴマスリされたいオッサンのためのイベントなので全く気が進みませんが、断ると角が立つので二つ返事で「はい、喜んで!」とばかりに参加しますよね。
取引先は地元ではちょっと名の知れた顔役で、親父が社長、息子が専務というよくある親族経営。
こっちが親父相手にペコペコお酌していると、遅れて専務がやってきました。
歳は当時の私よりちょっと上、30そこそこといったところです。
初対面でご挨拶をし名刺交換をすると、専務が私の顔をまじまじと見ながら言いました。
「うっわー! ◯◯さん、ヒゲ濃いっすね~~~~~~!!」
・・・ショックでした。
大人になると、普通は顔や体の欠点を面と向かって指摘されることはほとんどありません。
それゆえ気づかないフリをしていた部分をストレートに言葉にされたことで「ああ、やっぱり誰が見ても自分はヒゲが濃くて顔が汚い奴なんだ・・・」と改めて思い知らされ、完全に心を打ちのめされてしまいました。
普通の人なら、「そうなんですよ~、もう毎朝ひげそりが大変で(笑)」と軽く受け流せることかもしれません。
言った相手は童顔でヒゲが全然なかったので、もしかすると彼は彼で何か別のコンプレックスを抱えていたのかもしれず、「ヒゲが濃い人は男らしくて羨ましい」と言いたかったのかもしれません。
しかし当時の私にはそういった受け止め方をするだけの気持ちの余裕はなく、本当に泣き出したい気持ちでした。
隣県の脱毛クリニックを予約
私が遠方の脱毛クリニックを予約したのはその翌日のことです。
自分を変えたい!今すぐに!
「今ここでやらなかったらいつやるんだ、いつまで辛い思いを我慢し続けるんだ」という気持ちに後押しされて、ほとんど情報を精査することなく、コマーシャルで名前を覚えていたクリニックに電話をかけました。
完全に勢いだけです。
当時の転勤先は小さな地方都市で、脱毛治療に実績のあるクリニックがありません。
仕方なく電車で2時間ほどかけて隣県の大きな街まで出ていき、そこで受診することにしました。
実際の治療~初診~へ続きます