(インタビュー前編からの続きです)
ヘアーサイクル(毛周期)は1年周期?
管理人:
毛周期について伺います。全てのヒゲが一周するまでに、どれくらいの期間かかるものなのでしょうか?
院長:
約1年と言われていますね。ヒゲの成長期は人にもよりますけど6カ月くらいで、そのあと毛根が奥の方でちぎれてしまって、その状態で伸びずにただ生えているだけの状態が2~3ヶ月。それも抜けちゃって毛根だけになっている休眠期が2~3ヶ月…だと言われています。これがぐるっと一周すると約1年。
管理人:
だとすると、きちんと100%のエネルギーでレーザーが打てていれば、1年通うとほぼ全部なくなりますよね?
院長:
理論上はそうですね。
管理人:
私も以前1年くらい髭脱毛に通ってほぼツルツルになりました。そのあと3年くらいするとうっすらと生えてきてしまって、これが何でなのかなあと不思議に思っていたのですが。
院長:
毛根が全部焼き切れずに小さく残ってしまう場合もあるはずですね。管理人さんのように、小さく残った細胞から1年~2年くらいして毛が復活しちゃうっていうのは、多少はあるでしょうね。
管理人:
毛母細胞って言うのは一個の細胞じゃなくて、いくつもの小さな細胞が、みんなで「毛のもと」みたいなものを出して、それが合わさって一本の毛になっているという理解で大丈夫なんでしょうか?
院長:
はい、合っているはずです。
管理人:
そうすると毛根にレーザーを1発当てても、死ぬ細胞と、死なない細胞がありますよね?
院長:
そうですね。
管理人:
死なずに残った細胞が、しばらくして細い毛を作っているということは考えられるんでしょうか?
院長:
考えられます。小さくちぎれた部分が何年かして復活っていうのはあると思いますね。
管理人:
私もツルツルになって良かったなと思いましたが、2~3年してちょろっと生えてくると、それがストレスでした。全く剃らなくてよかったのが、ちょっとでも生えているだけでもう気になってしまいます。
院長:
そうですね、そういう時は何回かアフターケアで照射すれば大丈夫ですね。
管理人:
理想としては1年で全てのヒゲが焼ければ良いのですが、現実問題としては集中的に1年程度通った後、アフターケアとして年1回くらい通っていけば、ずっと綺麗なままでいられますよね?
院長:
はい、それが現実的だと思います。
医師法とエステについて
管理人:
医師法や105号通達(注1)絡みでお尋ねしたいのですが…。医師法の制限でエステでは永久脱毛はできませんよね。
院長:
はい。できないですね。
- (注1)105号通達…
「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」H13.11.8 - 簡単にまとめると、医師免許がない者がレーザーで毛根を破壊してはいけないという内容。違反者への刑事罰にも言及している。これに抵触したとして脱毛エステ「ドクタータカハシ」が2013年に摘発され廃業した。(当サイトの関連記事はこちら 通達全文はこちら:日本医学脱毛学会)
管理人:
一方で、ニードル脱毛(電気針脱毛)というものがありますよね。一部のエステでは針脱毛をやっていて、最近は「永久」とはハッキリ言わなくなりましたけど、「ずっと効果が持続する」的なニュアンスで書いてあります。半永久的な変性を行うような脱毛は、医療行為に当たるのでは? というのが素人の意見なのですが。
院長:
私も(針脱毛は)医療行為に当たる可能性が高いと思っています。
管理人:
私が運営しているサイトは「エステと病院の一番の違いは永久性の有無で、エステでは医師免許がないから、あくまで一時的に表面の毛を取り除くだけ。通うのをやめたら元に戻りますよ、だから病院に行きましょうね」っていうのが基本姿勢で、私自身もそう信じてます。
ただ読者さんから「ここのエステは針脱毛やっていて、永久脱毛なんでしょ? あんたの言っていることと違うじゃない」っていう質問をたまに頂いて…回答に苦慮しています。そのままエステに問い合わせてもまともなお返事を頂けないので。
院長:
なんで許されてるのかなあ…。それぞれのエステサロンさんの解釈もありますので、何とも申しがたいですね。
ちなみに針脱毛は物凄い痛みを伴います。皆さんとても耐えられないほど痛いって言って、当院へ逃げてくる人も毎月何十人といらっしゃいますね。レーザーの方が早いし簡単でいいですよ。
管理人:
お客さんからすると、エステと病院の違いがそもそも分からないので、知らずにエステの門を叩いてる人もいらっしゃるわけですよね。
(SBC脱毛公式サイトより引用)
私が「病院じゃないと永久脱毛できないよ」って言うと「そんなの初めて聞いた」とか「病院で脱毛なんてやってるの?」といったリアクションがほとんどなんです。ですから病院と正しく比較した上でエステを選んでいる方はとても少ないんじゃないかと思っています。そこが本当に悔しくて、ぜひ病院での治療を啓蒙して行きたいです。
院長:
そうですね。そこはぜひ広めて下さい。
エステの従業員が病院で脱毛してる!?
管理人:
エステに行って、その後に病院で脱毛した方がいいと考え直して来院される方も多いですか?
院長:
多いですね。エステは結構安い値段で宣伝しますけど、実際行くと安いのはトライアルまでで、そこから本格的に脱毛しようとすると結構な値段になるらしいんですよね。それだったら…と調べて思い直す人も多いみたいです。
あと、実はエステで働いている人も(来院することが)結構多くて。
管理人:
そうなんですか!? それは効果の違いの一番の証拠になりますね。
院長:
カウンセリングしてると1日1人くらいは新規で来ている感じですね。エステの光脱毛ではそれこそ産毛しか抜けない。産毛すら抜けない時もあるし、抜けたと思ってもすぐ生えてくるので。それを見て知っているからこそ病院に来るんでしょうね。
管理人:
エステの光脱毛と病院のレーザー脱毛は原理的にはほぼ同じだと思いますが、機材は明確に区別されているものなんですか?
院長:
区別されていますね。エステの光脱毛機器にも出力の設定はあるんですけど、医療用のアレキサンドライトレーザーでさえ抜けにくい人がいるくらいなのに、ましてや光だとどれだけパワー上げたとしても大して抜けないと思います。
毛嚢炎(もうのうえん)を防ぐには?
管理人:
パワーの強いレーザーを当てた後に毛嚢炎(ニキビのようなもの)が出る方がいらっしゃると思うんですけど、それを防ぐためにどのようなことに気をつけたらよいですか?
院長:
保湿ですね。保湿しないと、自分の肌が乾燥に対する防御反応を起こして皮脂が出てきちゃう。そうするとその脂っていうのは細菌にとっては餌になりますので、ちょっとした小さいプチプチができやすくなります。一応、施術直後に炎症を抑える薬を塗りますので、それで防げるはずですね。
管理人:
私も広い範囲に毛嚢炎が出て1週間くらい続いたのですが…。
(↑別の病院でダイオードレーザーを照射した後、数日後の写真)
院長:
それは長いですね。特に肌が弱いとか、乾燥してたのでは?
管理人:
確かに肌はすごく弱いです。それで化膿止めの薬を渡して貰えると助かるなあ…と思っていたんですが。
院長:
化膿止めは強い薬なので、簡単にはお渡ししづらいですね。保湿が大切です。
管理人:
レーザーを当てた後、吹き飛ばずに残っている毛は抜いても大丈夫ですか?
院長:
いや、抜かない方がいいですね。引っ張ると、毛穴の中でちぎれて深いところで残ったりします。そこからまた毛が生えてきたりするので。綺麗に根本から全部引っこ抜けるんだったらいいんですけど、そうもいかないので。触らない方がいいですね。
管理人:
泥棒ヒゲ(注2)はどうでしょう? 顔を綺麗にしたいと思ってくるのに、一時的でも今よりひどくなるよって言われたらちょっと…という抵抗感はあると思います。
- (注2)泥棒ヒゲ…
- レーザーで焼けたヒゲの残りカスはしばらく抜けずに毛穴に留まるが、焦げて膨張したヒゲは普段より太く黒々しくなる。そのためレーザー照射後の数日間は普段よりさらにヒゲが濃く見えることがある。
院長:
大抵の方は次の日には赤みが消えて普通に戻りますけど、管理人さんのように毛嚢炎が悪化して長引く人もたまにいますので、その辺はちゃんと説明しています。泥棒ヒゲは…そんなに酷い人はあまりいないと感じています。マスクなどで対応できる範囲だと思いますね。
その辺を気にされる方が多いので、カウンセリング時には私自身が治療した時の写真などを見せて「こんな感じですよ」と説明しています。写真を見たら大したことないなと感じて頂けるようです。
(後編に続きます)
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